マンションやアパートなどの集合住宅では、一戸建てとは異なる湿気虫の発生原因や対策の難しさがあります。隣接する住戸との関係や、建物全体の構造が影響することがあるためです。集合住宅で湿気虫が発生しやすい原因の一つとして、気密性の高さが挙げられます。近年の建物は断熱性や気密性が向上していますが、その反面、湿気がこもりやすいという側面もあります。特に、換気計画が不十分だったり、住人が意識的に換気を行わなかったりすると、室内の湿度が上昇し、湿気虫が発生しやすい環境になってしまいます。鉄筋コンクリート造の建物は、木造に比べて結露が発生しやすい傾向もあります。特に北側の部屋や、押し入れ、クローゼットの壁などは、外気温との差で結露しやすく、カビや湿気虫の温床となりがちです。家具を壁にぴったりつけて配置していると、その裏側で結露やカビが発生し、気づかないうちに湿気虫が繁殖しているケースも少なくありません。また、集合住宅特有の問題として、隣接する住戸からの影響も考えられます。例えば、隣の部屋で湿気虫が大量発生している場合、壁の隙間や配管などを通って、自分の部屋に侵入してくる可能性もあります。上階からの水漏れが原因で、壁の内部や天井裏に湿気が溜まり、そこから湿気虫が発生するというケースも報告されています。集合住宅での湿気虫対策としては、まず個々の住戸でできる換気と除湿を徹底することが基本です。24時間換気システムが設置されている場合は、常に作動させておくことが重要です。浴室やキッチンの換気扇も積極的に活用しましょう。結露対策としては、こまめに拭き取る、除湿機を使う、家具と壁の間に隙間を空けるなどの工夫が有効です。もし、自分だけで対策しても改善しない場合や、発生源が特定できない場合、あるいは隣接住戸からの影響が疑われる場合は、管理会社や大家さんに相談することが重要です。建物全体の調査や、場合によっては専門業者による駆除が必要になることもあります。早期に相談し、連携して対策を進めることが、集合住宅における湿気虫問題の解決に繋がります。
集合住宅での湿気虫発生原因と解決策