私たちの身の回りを飛び回り、時に不快感を与えるハエ。その発生源となるのが、彼らが産み付ける卵です。普段あまり目にすることのないハエの卵ですが、どのような特徴を持ち、どこに産み付けられるのでしょうか。その基本的な知識を知ることは、効果的なハエ対策の第一歩となります。ハエの卵は、種類によって多少の違いはありますが、一般的には非常に小さく、長さ1ミリメートル程度の白い米粒状、あるいはバナナのような形をしています。色は乳白色から薄い黄色で、光沢はなく、肉眼でも注意深く見れば確認できる大きさです。多くの場合、一箇所に数十個から百個以上の卵が塊(卵塊)として産み付けられるため、発見時は白い粒々が密集しているように見えます。ハエが卵を産み付ける場所は、幼虫(ウジ)が孵化してすぐに餌を食べられる環境です。つまり、腐敗した有機物が豊富な場所が選ばれます。具体的には、キッチンの生ゴミ、放置された食品、排水溝の汚泥、ペットの糞、動物の死骸、庭の堆肥、汚れたゴミ箱の中などが主な産卵場所となります。特に、温度と湿度が高い環境を好み、夏場は特に注意が必要です。産み付けられた卵は、適切な温度条件下(25℃~35℃程度)であれば、わずか半日から1日程度で孵化し、ウジとなります。ウジは周囲の腐敗物を食べて急速に成長し、数日から1週間ほどでサナギになり、さらに数日から1週間ほどで成虫のハエとなって飛び立ちます。この驚異的な繁殖スピードこそが、ハエがなかなか減らない理由の一つです。ハエの卵を見つけることは稀かもしれませんが、もし生ゴミやゴミ箱の隅などで白い粒々の塊を見つけたら、それはハエの卵である可能性が高いでしょう。その存在は、家の中や周囲にハエの発生源があるというサインです。卵の特徴と産卵場所を知り、早期に対処することが、ハエの大量発生を防ぐ鍵となります。