チャバネゴキブリの卵鞘その特徴と見分け方
チャバネゴキブリの繁殖力を支える重要な要素が「卵鞘(らんしょう)」と呼ばれる卵のカプセルです。これを見つけることが、効果的な駆除の第一歩となります。卵鞘は、一般的に長さ5ミリメートルから8ミリメートル程度の細長いがま口のような形をしており、色は淡褐色から赤褐色をしています。表面には多数の横筋が見られ、内部には平均して30個から40個もの卵が整然と並んで収められています。この卵鞘はメスが体内で形成し、孵化直前まで腹部の先端に付着させて持ち運びます。他のゴキブリ、例えばクロゴキブリの卵鞘はより大きく黒っぽい色をしているため、色と大きさ、そして形状で見分けることが可能です。チャバネゴキブリの卵鞘は、その小ささと保護色のため、見つけにくいという特徴があります。特に、暖かく湿気の多い、そして暗い場所を好んで産み付けられます。具体的には、厨房機器の裏側、冷蔵庫のモーター部分、シンクの下、壁の隙間、段ボールの隙間、家具の裏などが好適な場所となります。卵鞘は粘着性のある物質で固定されることが多く、垂直な面にも付着していることがあります。卵鞘を見つけることは、チャバネゴキブリの生息、そして繁殖活動が行われている確かな証拠となります。卵鞘一つから多数の幼虫が孵化するため、早期発見と適切な処理が、その後の大発生を防ぐ鍵となります。普段から清掃を徹底し、これらの隠れやすい場所を注意深く点検することが重要です。卵鞘を見つけた場合は、潰したりせずに、物理的に取り除き、ビニール袋に入れて密閉し、確実に廃棄することが推奨されます。薬剤を使用する場合は、卵鞘内部の卵には効果が及びにくいことがあるため、孵化した幼虫をターゲットとした対策も併せて行う必要があります。