キセルガイとはどんな生き物?その生態
キセルガイは、陸に生息する巻貝の仲間で、日本を含む東アジアに広く分布しています。その名前は、殻の形が昔の喫煙具である煙管(キセル)に似ていることに由来します。細長く、右巻きまたは左巻き(種類によって異なります)の殻を持ち、大きさは種類によって様々ですが、多くは数センチメートル程度です。殻の色は褐色や黄褐色、灰色がかったものなどが見られます。彼らは主に湿度の高い環境を好み、森林の落ち葉の下や朽木、石垣の隙間、庭の植え込みの根元、ブロック塀の陰など、日当たりが悪くジメジメした場所に生息しています。夜行性または薄明薄暮性の傾向があり、日中は物陰に隠れていて、湿度の高い夜間や雨上がりなどに活動することが多いです。食性は、主にコケ類や地衣類、菌類(キノコなど)を食べているとされています。これらの生物が付着している樹皮や石の上などを這い回り、やすりのような歯舌(しぜつ)で削り取るようにして食事をします。しかし、環境によっては、植物の若葉や新芽、腐敗した植物質などを食べることもあり、これが後述する「害虫」としての一面につながることがあります。キセルガイは雌雄同体の種が多いですが、自家受精はせず、他の個体と交尾して繁殖します。土の中や落ち葉の下などに産卵し、孵化した幼貝は親と同じようなものを食べて成長します。寿命は種類や環境によって異なりますが、数年程度生きると考えられています。彼らはカタツムリやナメクジと同じ陸貝の仲間ですが、殻の形状が大きく異なるため、見間違えることは少ないでしょう。自然界においては、分解者としての役割も担っていると考えられますが、人間の生活圏においては、時に厄介な存在と見なされることもあります。