夏から秋にかけて、野山や住宅地で遭遇する機会が増えるスズメバチは、その強力な毒性と攻撃性から最も注意すべき昆虫の一つです。日本にはオオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチなど複数の種類が生息しており、種類によって巣を作る場所や攻撃性に違いはありますが、いずれも不用意に刺激すると集団で襲ってくる危険性を秘めています。特にオオスズメバチは世界最大級の蜂であり、その毒の強さや攻撃性は極めて高く、刺された場合の被害も大きくなる傾向があります。スズメバチの毒には、痛みや腫れを引き起こす成分だけでなく、神経毒や血圧降下作用を持つ成分などが含まれています。一度刺されただけでも激しい痛みと腫れに見舞われますが、体質によってはアナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があり、これは命に関わる危険な状態です。過去に蜂に刺された経験がある人は、特に注意が必要です。スズメバチは春に女王蜂が一匹で巣作りを開始し、働き蜂が増える夏から秋にかけて巣が最も大きくなり、活動も活発化します。巣は木の枝や地中、家屋の軒下や屋根裏、壁の中など、雨風をしのげる閉鎖的な空間に作られることが多いです。巣の形状は種類によって異なりますが、初期はとっくりを逆さにしたような形をしており、次第に球状や楕円形に大きくなっていきます。表面には特徴的な縞模様が見られます。スズメバチ対策の基本は、まず巣に近づかない、巣を刺激しないことです。庭の手入れやハイキングなどで巣を見つけた場合は、静かにその場を離れ、絶対に石を投げたり棒でつついたりしてはいけません。また、スズメバチは黒い色や動くもの、強い匂い(香水や整髪料など)に反応して攻撃してくることがあるため、野外活動時には服装や匂いにも注意が必要です。自宅の敷地内などに巣が作られてしまった場合は、無理に自分で駆除しようとせず、専門の駆除業者に相談することが最も安全で確実な対策となります。