家庭で手軽に作れるゴキブリ対策として知られるホウ酸団子ですが、なぜこれがゴキブリに対して効果を発揮するのか、その仕組みを詳しく見ていきましょう。ホウ酸団子の主成分であるホウ酸は、ゴキブリにとって致死的な毒性を持っています。しかし、その効果の現れ方は、一般的な殺虫剤のように即効性があるわけではありません。ホウ酸は、ゴキブリが摂取することで、主に脱水症状を引き起こし、ゆっくりと死に至らしめます。ゴキブリがホウ酸団子を食べると、ホウ酸が消化器官から吸収され、体内の代謝プロセスに影響を与えます。具体的には、細胞のエネルギー生成を阻害したり、神経系に作用したりすると考えられています。その結果、ゴキブリは徐々に衰弱し、水分を保持する能力を失っていきます。最終的には脱水症状が進行し、動けなくなり死に至るのです。この効果が現れるまでには数日から一週間程度の時間がかかります。この遅効性が、ホウ酸団子の大きな特徴であり、利点でもあります。ホウ酸団子を食べたゴキブリは、すぐに死ぬわけではないため、巣に持ち帰る可能性があります。ゴキブリは仲間の死骸や排泄物を食べる習性があるため、ホウ酸を含んだゴキブリの死骸やフンを他のゴキブリが食べることで、毒が巣全体に広がっていくのです。いわゆる「ドミノ効果」と呼ばれるもので、これにより、直接ホウ酸団子を食べていないゴキブリまで駆除できる可能性があります。これが、ホウ酸団子が巣ごと駆除する効果が期待できると言われる所以です。また、ホウ酸はゴキブリにとって味や匂いがほとんど感じられないため、誘引剤と混ぜ合わせることで、警戒心を持たれずに食べられやすいという側面もあります。ただし、ホウ酸は人間やペット、特に小さな子供にとっては有害です。誤って摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があるため、ホウ酸団子の作成や設置、保管には最大限の注意が必要です。安全な場所に設置し、使用後は適切に処分することが求められます。
ホウ酸団子はなぜゴキブリに効くのかその仕組み解説