気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患の原因の一つとして、家の中に生息するダニが深く関わっていることはよく知られています。特に、チリダニ(ヒョウヒダニ)の死骸やフンは強力なアレルゲンとなります。このチリダニは非常に小さく肉眼ではほとんど見えませんが、その死骸やフンが、時に「白くて小さい粉」のように認識されることもあります。また、同じくアレルゲンとなり得るコナダニは、前述の通り白く見えることが多いです。これらアレルギーの原因となり得る「白くて小さい虫」への対策は、アレルギー症状の緩和や予防において非常に重要であり、単なる不快害虫の駆除とは異なる視点が必要です。その基本となるのが「環境制御」、つまり、ダニが繁殖しにくい環境を作ることです。チリダニ対策で最も重要なのは、主な生息場所である寝具(布団、マットレス、枕)と布製ソファ、カーペットです。これらの場所からアレルゲンとなる死骸やフンを物理的に除去することが基本です。具体的には、掃除機によるこまめな吸引(特に寝具は専用ノズルを使うと効果的)、寝具の丸洗いや高温での乾燥(布団乾燥機やコインランドリーの利用)、防ダニ効果のあるシーツやカバーの使用が挙げられます。また、チリダニは湿度60%以上で活発に繁殖するため、部屋の湿度を50%以下に保つことも重要です。換気や除湿器の活用が有効です。一方、コナダニは食品(特に粉物)や畳で繁殖しやすく、こちらも高湿度を好みます。コナダニ対策としては、食品の密閉保存と早期消費、発生源となりやすい畳や貯蔵食品周辺の清掃、そして湿度管理が中心となります。殺虫剤や忌避剤も補助的に有効ですが、薬剤だけに頼るのではなく、あくまで環境制御が主体です。アレルギー対策としての防虫は、原因となるダニの種類を特定し(場合によっては専門機関での検査も有効)、その生態に基づいた適切な環境管理を継続的に行うことが、症状改善への最も確実な道筋と言えるでしょう。
アレルギー対策としての白い小さい虫の制御