ブユは、地域によってはブヨとも呼ばれ、多くの人々、特にアウトドア愛好家を悩ませる小さな吸血昆虫です。その正体はハエ目カ亜目ブユ科に属する昆虫の総称であり、蚊とは異なるグループに分類されます。体長は約2ミリメートルから5ミリメートル程度と非常に小さく、黒っぽい色でずんぐりとした体型をしているのが特徴です。一見すると小さなハエのようにも見えますが、その被害は見た目以上に深刻なことがあります。吸血するのは産卵期のメスだけで、これは産卵に必要なタンパク質を摂取するためです。オスは花の蜜などを吸って生活しています。ブユは主に春から夏にかけて活動が活発になり、特に気温が比較的低い朝方や夕方に吸血活動を行うことが多いとされています。ただし、曇りの日や気温がそれほど高くない日中は活動することもあります。彼らが好むのは、渓流や川などのきれいな流水がある環境です。そのため、キャンプ場やハイキングコース、釣り場、高原などで遭遇する機会が多くなります。幼虫は水中で生活し、岩などに付着して、水中の有機物や微生物を食べて成長します。水質に対する感受性が高く、きれいな水質の指標昆虫とされることもありますが、人間にとっては厄介な存在です。日本には数十種類のブユが生息していると言われており、種類によって大きさや発生時期、好む環境が多少異なりますが、人に対する吸血行動や引き起こされる症状には共通点が多く見られます。その小ささゆえに衣服の隙間から侵入したり、気づかないうちに多数箇所を咬まれたりすることもあるため、正しい知識を持って対策を講じることが重要です。