毎日使う布団は、私たちにとって安らぎの場所ですが、実は目に見えない小さな虫たちの温床になっている可能性があります。快適な睡眠を妨げ、時には健康被害を引き起こすこともある布団の虫。代表的な種類とその特徴を知っておくことは、適切な対策を講じるための第一歩です。最も一般的なのが「チリダニ(ヒョウヒダニ)」です。体長わずか0.3ミリメートルほどで肉眼ではほとんど見えませんが、布団の中には数百万匹以上生息しているとも言われます。彼らは人間のフケやアカ、汗などを餌とし、高温多湿な環境を好みます。ダニ自体が人を刺すことはありませんが、その死骸や糞がアレルゲンとなり、喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などを引き起こす原因となります。次に注意したいのが「トコジラミ(南京虫)」です。体長は5ミリメートルから8ミリメートル程度で、赤褐色をしています。夜行性で、寝ている間に人の血を吸います。刺されると強いかゆみを伴う赤い発疹ができ、複数箇所を刺されることが多いのが特徴です。近年、海外からの旅行者などを介して都市部を中心に被害が増加しており、駆除が非常に困難な害虫としても知られています。また、「チャタテムシ」も布団周りで見かけることがあります。体長1ミリメートルから2ミリメートルほどの小さな虫で、湿気とカビを好みます。本棚や畳などにも発生しますが、布団の湿気が高いと発生しやすくなります。直接的な害は少ないものの、大量発生すると不快であり、ダニの餌になる可能性もあります。稀に「ケナガコナダニ」が発生することもあります。これは、主に梅雨時などに布団や畳、食品などで大発生することがあるダニで、人を刺すことはありませんが、これを捕食するツメダニが増える原因となります。ツメダニは人を刺し、かゆみを引き起こします。これらの虫は、種類によって対策方法が異なります。例えば、ダニ対策には掃除機がけや熱処理が有効ですが、トコジラミには専用の殺虫剤や専門業者による駆除が必要になることが多いです。まずは、布団や寝室の環境を注意深く観察し、どのような虫がいる可能性があるのか、あるいはどのような被害が出ているのかを把握することが重要です。清潔な寝具で安心して眠るために、まずは敵を知ることから始めましょう。