やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)は、その体液にペデリンという強力な毒成分を含んでいます。この虫を潰したり、叩いたりして体液が皮膚に付着すると、数時間後から翌日にかけて、線状の赤い腫れや水ぶくれといった、火傷のような皮膚炎(線状皮膚炎)を引き起こします。もし、やけど虫に触れてしまった、あるいは潰してしまったかもしれないと感じた場合は、パニックにならず、迅速かつ適切な応急処置を行うことが症状の悪化を防ぐ鍵となります。まず最も重要なことは、体液が付着した可能性のある皮膚を、すぐに大量の流水と石鹸で優しく洗い流すことです。ペデリンは水溶性ではありませんが、石鹸を使うことで、皮膚表面の毒成分を物理的に除去する効果が期待できます。この際、絶対に患部をゴシゴシ擦らないでください。擦ることで毒成分を皮膚の他の部位に広げてしまう可能性があります。優しく、泡で包み込むようにして洗い流しましょう。もし、虫がまだ皮膚の上にいる場合は、直接手で払いのけたり、潰したりしてはいけません。息を吹きかけて飛ばすか、ティッシュペーパーなどでそっと取り除いてください。衣服の上から触れた場合も同様です。衣服に体液が付着している可能性があるので、すぐに着替え、汚れた衣類は他の洗濯物と分けて洗濯しましょう。洗い流した後は、清潔なタオルで水分を優しく拭き取ります。現時点で症状が出ていなくても、念のため、しばらく様子を見てください。もし、赤み、腫れ、かゆみ、痛みなどの症状が現れてきた場合は、患部を掻いたり、むやみに触ったりしないように注意しましょう。掻き壊すと、細菌感染を起こして症状が悪化する可能性があります。症状が軽い場合は、市販のステロイド軟膏を使用することも考えられますが、自己判断せず、できるだけ早く皮膚科を受診することをお勧めします。特に、症状が広範囲に及んでいる場合、水ぶくれがひどい場合、目に入った可能性がある場合は、必ず専門医の診察を受けてください。早期の適切な治療が、早期回復と痕を残さないために重要です。
もしやけど虫に触れたら正しい応急処置