米軍基地から広がる外来害虫の脅威
沖縄県には広大な米軍基地が存在し、多くの物資や人々が海外と行き来していますが、これは安全保障上の拠点であると同時に、意図せずして海外からの外来害虫が侵入するゲートウェイとしての側面も持っており、生態系や県民生活に深刻な影響を与えています。例えば、南米原産の猛毒を持つヒアリや、植物を食い荒らすシロアゴガエル、さらには近年問題となっているトコジラミ(南京虫)なども、軍需物資のコンテナや引越し荷物に紛れ込んで沖縄に上陸し、温暖な気候に乗じて定着・拡散していると考えられています。特にトコジラミに関しては、基地周辺の北谷町や沖縄市の外国人向け住宅や宿泊施設から被害報告が増え始め、今では県内全域のホテルや一般家庭にまで広がりを見せており、その強い薬剤抵抗性と繁殖力によって駆除が困難な状況を生み出しています。また、アフリカマイマイという巨大なカタツムリも戦後に食用として持ち込まれたものが野生化し、広東住血線虫という寄生虫を媒介して髄膜脳炎を引き起こすリスクがあるため、子供たちが興味本位で触らないよう教育現場でも注意喚起が行われています。これらの外来種は沖縄の在来種を捕食したり競合したりして生態系バランスを崩すだけでなく、農業被害や健康被害といった実害をもたらすため、県や国はモニタリング調査や駆除作戦を展開していますが、基地という特殊な環境下での防疫体制には限界もあり、私たち一人一人が外来生物を持ち込まない、広げないという意識を持つことが、美ら島沖縄の自然を守るための防波堤となるのです。